短期集中予防サービスのモデル事業

高齢者の介護予防は全国的な課題となっています。当団体が運営する地域包括支援センターにおいて介護予防ケアマネジメントを担当している高齢者の状況を調べたところ、改善率は5%未満という結果でした。一方で、山口県のある自治体では改善率は5割強にのぼります。この違いは、厚生労働省が推進している短期集中予防サービスの実施の有無にあります。
短期集中予防サービスとは、リハビリテーション専門職が中心となり、3ヵ月から 6ヵ月という限られた期間で、生活機能が低下した高齢者を対象に展開するサービスで、高齢者がこれからどのように暮らしていきたいのか、ありたい姿を尊重して自立支援や重度化防止の取組を行うことで、元の生活を取り戻していくことを目指すものです。 特に、医療経済研究機構の服部真治氏が推奨する短期集中予防サービスでは、高齢者とリハビリテーション専門職との面談を中核とするプログラムを通じて、通所日以外の6日間をどう過ごすかを高齢者と一緒に考えるとともに、高齢者が自分の可能性に気づくことをサポートし、自らの力で日常生活が継続できるようにセルフマネジメント力を獲得することを目指すことに特徴があります。この取り組みは、私たちが大切にしている「うずうず」や「対話」と共通するものです。
厚生労働省の調査によると、通所型の短期集中予防サービスを実施している自治体は40.7%(709自治体)、2,193事業所となっていますが(2022年3月末時点)、大牟田市では実施していませんでした。そのため、医療経済研究機構の協力を得て、当団体も協力する形で、2023年度に市内2箇所の医療機関でモデル事業を実施しました。成果はポジティブなもので、実務を担った専門職も事業に対する前向きな感触を持ったのですが、2024年度からの制度実装は叶いませんでした。その理由の一つは、市役所の余裕のなさです。元気になれるはずの人が元気を失っていく現状を変えていくために、引き続き取り組んでいきます。