パブリック・リフレーミング
「公/公共性」の構造転換
既存の社会システムのはざまとして生じる社会課題に、局所的ではなく、統合的包括的にアプローチしていく上では、そうしたアプローチを支える原理が求められる。それは、具体的な実践においても、統合的・包括的な課題設定を可能にする理念であると同時に、現場で実践する際の立ち位置(地域での存在のありかた)を支えるものでもある。そうした原理を、私たちは「公/公共的なもの」と捉えたい。もっとも現代の私たちにとって「公を担うのは行政・自治体」だと素朴に前提されている面もある。だがそうである限り、「新しい公共私」の関係は平面的な利害調整・役割分担の域を出ることはないだろう。むしろ既存の公では対応できていないが、しかし公共性があると考えられる課題(狭間の問題)へのアプローチこそ求められるのではないか。そしてそれは、様々な立場の人々の共創による「公」の再構成につながるのではないか。こうした問題意識から、改めて既存の「公/公共性」を捉えなおす議論が求められる。その検討は、公を「公開性」において捉えてきた西洋近代的な枠組みを批判的に再検討することにもなるだろう。一方、「閉じられている」私的領域にのみ依拠する議論は、統合的・包括的視点を欠くものになる。むしろ「開かれ」にのみ閉じるのではなく、「閉じていること」をいかに開いていくのか、そうした視点から「公」や「公共性」を問い直していく必要がある。本事業は、こうした論点を有識者との対話を通して考えていくことで、「公/公共性」を独自に捉える視点と、その視点に応じた社会や組織のありかた・関わり方の展望を得ることを目指すものである。
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NTT西日本