社会システムデザイン

ポニポニは、社会課題を「既存の社会システムと現実とのズレ」として捉えています。長い間変わることなく維持されてきた社会システムが、時代や社会の変化に対応できなくなり、社会課題を生み出しているという認識です。そのため、生み出された社会課題を手当てする取り組みの重要性を深く理解したうえで、その取り組みによって既存の社会システムが温存されてしまうという矛盾を乗り越え、社会システム自体をデザインし直す(転換する)ことを志向しています。
例えば、公営住宅におけるコミュニティの課題が挙げられます。高齢化が進み、所得が低い、もしくはケアが必要か予期される人たちが優先的に入居するために、自治会活動が停滞しやすく、暮らしに困難を抱えている人が少なくありません。この課題を解決するため、各地でさまざまな取り組みが行われていますが、そもそも課題を抱えやすい人たちが集まる状況は、システムによって(政策的に)生み出されていると捉えることができます(既存政策の成功)。この課題の本質的な解決には、入居基準や自治モデルの見直し、そして、居住を支えるシステム自体を転換していくことが必要です。ヨーロッパにおいては、社会(賃貸)住宅というカテゴリーがあり、入居する対象は幅広く、行政以外の非営利組織などが住宅を供給する仕組みや住宅手当てが整備されています。
このように、目の前の課題は、時代や社会状況に合っていないシステムによって生み出されていることがあり、それをデザインし直すことが必要となっているのです。そのような取り組みをしている人たちは、私たち以外にもいます。私たちはそのような人たちとつながることで、問い直すべきシステムの理念(システムの核にあるもの)を探り出し、そこにアクセスし、既存システムを書き換えていくようなプロジェクトを生み出すことに努めています。

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