ポニポニピープル Dialogue 002 鶴岡章吾

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可能性がそのままある、これから

菊地玄摩 最後に、今後についてお聞きします。今のシロノマ社があって、ポニポニとも一緒に仕事をしてきました。これからこういうことをしたい、こうなっていたらいいなと思うことはありますか。

鶴岡章吾 もっとガッツリとプロジェクトをやりたいと思っています。それこそ、ポニポニの仕事でプロセスが大事だと気が付いたので、例えばこの活動記録のように、プロセス途中でのアウトプットを伝えるお手伝いができないかと思っています。公開できない部分もあるので、どんなものでもというわけにはいかないと思いますが、このインタビューのようなコンテンツの制作やビジュアルの制作のお手伝いをしたいですね。現場を見ながら、こうした仕事について知りたいと思っているので、気軽に声をかけてもらえると嬉しいです。

菊地玄摩 声をかけるも何も、鶴岡さんがやってくれないとやばいですよ。遅かれ早かれ、相談に行きます。

鶴岡章吾 あとは「にんげんフェスティバル」のような企画が継続すれば、いろいろな発見があるでしょうし、新しいチャレンジに繋がるので、一緒にやっていけたらいいなと思いますね。

菊地玄摩 そうですね。でも、鶴岡さんはご自身のチャンスだけを見越しているわけではないですよね。鶴岡さんの目線には、「にんげんフェスティバル」に関わる人たちの動きが入っていて、その人たちのチャンスや可能性も同時に見越しているように感じます。
ポ二ポ二の周辺で、今一番可能性を感じていることはありますか。

鶴岡章吾 可能性ばっかりですよ。

菊地玄摩 笑。それは面白い。

鶴岡章吾 いや、本当に面白くて、本当に可能性ばっかりですよ。僕自身も、一つ一つの事業にどんな可能性があるのか知りたいから、もっと関わることができたらなと思っています。具体的な可能性だけではなく、僕の興味を知るチャンスもある気がします。

菊地玄摩 なるほど。可能性の可能性ですか。可能性はありそうだが、どういう可能性かわからないから、そこに飛び込んでまだ見ぬ可能性を知りたいということですね。

鶴岡章吾 そうです。そこに可能性があることはわかっているんです。

菊地玄摩 どういうわけか、その確信があるんですよね。

鶴岡章吾 そうです。確信がないときは、躊躇して関わらなくてもいいやと思ったり、むしろやばそうだと思うこともあります。でも、ポニポニでは一切感じたことはありませんね。

菊地玄摩 その可能性に魅入られた人たちがポニポニピープルなのでしょうね。そこに可能性があるとわかってしまった時点で、すでに何か始まってる。

鶴岡章吾 どこまで分け入っていいのかわからないので、遠慮がちですが、傍から見ていて面白そうなことやってるように見えていますよ。

菊地玄摩 鶴岡さんは傍から見てるというよりは完全に中の人です。鶴岡さんが面白がることで、他の人のポ二ポ二ピープル化も進んでいると思います。大牟田ハイツで鶴岡さんに僕のデジタル付箋の資料を出したとき、恐る恐るだったのですが、それを見てすぐに「そうそう」と受け止めてもらったとき、可能性が僕の中で確信に変わりました。鶴岡さんが面白がってくれていなかったら、にんげんフェスティバルの可能性を感じていた僕も、確信の持てなさに疲れ果てていたことでしょう。

鶴岡章吾 僕も最初は同じ気持ちでしたよ。これを作ってくださいと言われるだけなら、普通の仕事と同じだと思ったでしょうね。あの時、面白さを共有できたことが、すごく大きかったと思います。面白さを共有できていなければ、ここまでポニポニと関わらなかったでしょうし、仕事だけの付き合いで終わっていたと思います。ここまで面白さを共有した経験は他ではなかったので、面白くて楽しくて嬉しくて、一気にのめり込んでいくきっかけになりましたね。

菊地玄摩 大牟田ハイツでの出来事より以前のポニポニでの活動の積み重ねが、巡り巡ってこうしたことを作り出しているのでしょうね。そのあたりは、引き続きいろんな方に語っていただきたいです。

鶴岡章吾 菅原さんが僕とポ二ポ二を分けていたのは、菅原さんと最初にお会いしたときの僕には、まだ面白がるマインドがなかったからかもしれません。その当時は、もっとグラフィックを極めてうまくなりたいという気持ちや、個人としてどんどん仕事をしなければという気持ちが強かった。そんな中、菅原さんと知り合って、プロセスの部分の大切さや面白がる体験を重ね、改めて菊地さんと「面白い」を共有できたわけです。このタイミングより遅かったら、会社を作らなかったかもしれませんし、反対に早かったら仕事だけの関係で終わったかもしれません。ちょうど、プロセスは楽しいかもしれない、それを楽しめばいいのではないだろうか、でも普通の仕事ではなかなかできないと悩んでいました。もちろん「にんげんフェスティバル」にも責任はありますが、純粋に面白がっていい場です。そうこう思い悩んでいる時に、ちょうど菊地さんと「面白い」を共有して、ポ二ポ二と合流できたなんて、タイミングがよかった。一番モヤモヤしていた時期だと思います。

菊地玄摩 僕は、全くのノーヒントで鶴岡さんにたどり着き、連絡して、会ってみたらバッチリだったという経験をしました。それは偶然ですが、大牟田全体に蓄積したものが、そういうことを起こりやすくしてきているんでしょう。ポニポニの活動の厚みを感じます。

鶴岡章吾 今だからこそ、こんな風に思える感じがしますね。あのときはどういう心境だったのか、今なら客観的に感じ取れます。その先の未来もわかっている状況で分析すると、当時とは感じ方が変わっていて、面白いですね。

菊地玄摩 変に将来の希望は言わず、可能性をそのまま考えることができて面白かったです。切りがよさそうなので終わりにしましょうか。

鶴岡章吾 今日は、ありがとうございました。

おわりに

菊地玄摩 デザイナーという、アウトプットに明確な形があるはずの仕事にあって、鶴岡さんの仕事ぶりは、ものごとに形が与えられるまでの過程や、それがどこに置かれ、どのように振る舞うかについて語りたくなってしまうものだと感じていました。鶴岡さんがデザインに取り組む姿を少しでもテキストにしたいという今回の試みは、個別のプロジェクトの話だけでなく、久留米から大牟田へ活動拠点を移すエピソードまで遡ることになり、充実した内容になったのではないかと思います。
大牟田から遠く離れた場所を生活の拠点にしながらポニポニと関わっている私にとって、大牟田の風景との絆を感じさせてくれる鶴岡さんがいなければ、仕事を進めることがかなり難しいものになっていたと思われます。しかしそれはよく考えると、私にとってそうであるだけでなく、多くの人にとってそうなのかも知れません。鶴岡さんが手がけているのは印刷物や看板を通した風景づくりであり、それによって商品や、企業や、イベント、そしてポニポニを大牟田に「ある」ものにしているとすれば、やはり鶴岡さんの仕事は点ではなく、大きなスケールで語ってこそ意味がある、と思えてきます。

鶴岡章吾

株式会社シロノマ
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菊地玄摩

Circuit Lab. (ユニバ株式会社)
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