ポニポニピープル Dialogue 003 菊地玄摩

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ポニポニ・メディアを作りたい

鶴岡章吾 その段階では、ポニポニそのものは存在していたんでしたっけ?

菊地玄摩 していました。ロゴマークと、1ページの概要+お知らせ記事を載せられる機能をもったウェブサイトがありました。

鶴岡章吾 そこからお話をされて、一緒に進んでいくきっかけはどんなものでしたか?サイト作ってくださいという話だったんですか?

菊地玄摩 原口さんのメールを読み返すと…「メディア性のあるウェブサイト構築のご相談だけではなく、テクノロジーを生かした取り組みについてもお話しできたら幸甚です。」と書いてありますね。アルス・エレクトロニカに注目してもらえるのは嬉しかったですし、面白そう、と思いました。

鶴岡章吾 それまでも、ポニポニ以外のところからアルス・エレクトロニカ関係の問い合わせはあったんですか?

菊地玄摩 「ユニバさんはアルス・エレクトロニカや新しいテクノロジーが好きなので、面白いことやるときに相談させてください」みたいなお話は多かったです。ですが原口さんの最初メールの時点で、これはテクノロジー面白がりとは違う話だなというのはすぐ理解できました。

鶴岡章吾 面白いですね。それからサイトを含め、一緒にやっていくという形でしょうか?

菊地玄摩 はい、予算をつけていただいて、メールをいただいた2021年度からすぐに一緒にやりましょうということになったんですが、アウトプットが全然出せなくて。半年以上何もリリースがありませんでした。初めてでしたね。ウェブ制作会社をやってきて自分のことを何かを形にするプロだと思ってたんですけど、ポニポニでは全然通用しませんでした。

鶴岡章吾 それは、定期ミーティングを繰り返していくようなやり方ですか?

菊地玄摩 そうですね。原口さん、山内さん、松浦さん、木村さんはじめ皆さん毎週来てくれて、ずっとゴツい話をしていたんですけど、ウェブサイトを作るという意味では全然進まないんです。

鶴岡章吾 形にならない、と。

菊地玄摩 当時、「湯リイカ」の対話が盛り上がっている時期で、僕はその背後にあるポニポニっぽい思考をストレートにウェブにしたいと思ってしまっていたんですね。ポニポニ的な思考を、ウェブからちょっと知ることができて、「この人たち面白いから連絡してみよう」と思えるような、その最初のステップを作りたいなと。
原口さんやポニポニの誰かと会って話せば伝わることではあるんですが、話さなくてもウェブからポニポニに近づけるようにしようという設定で、そこにいきなりポニポニ的な思想を置こうとして、頑張ったんですけど、駄目でした。それは未だにできていないんですけど。

湯リイカ

鶴岡章吾 難しいですね。

菊地玄摩 今にして思うと、何を作っても議論が始まっちゃってました。問いと対話が溢れ出すぎて、全然制作が捗らない。

鶴岡章吾 そっちに主軸を置いてるところもあるから、形にならなくてもいいとなりますよね。

菊地玄摩 僕が未完成なものを出していたこともあると思います。終わらせるよりもむしろ盛り上げてしまっていました。形を完成させなきゃいけない僕の立場としては、造形的な仮説からはじまって、途中段階があるのは自然なことなんですが、造形的なヒントをみたら、そこから新たな話を思いついて言いたくなってしまいますよね。テーマを面白がって深掘りしているということだとは思うんですけど。そうするとさらに多くの材料を得て、仮説が永遠に結論まで追いつかなくなってしまう感じがするんですよ。

鶴岡章吾 そこから動かないためにピンを打ったはずが、どんどん動いていくような。

菊地玄摩 どうしたらいいんだと、途方に暮れてしまいました。

鶴岡章吾 それでも1年間ぐらいあとには、今のように「湯リイカ」などもきちんと整理されていったんですね。

菊地玄摩 そうですね、途中から諦めて方向転換しました。年度末までには絶対サイトを2つ出すという風に、できる見込みがなくてもアウトプットを先に決めました。

鶴岡章吾 お金をもらっている側が思うって、すごいですね。

菊地玄摩 まず、まっさらな「poniponi.or.jp」と「dialogue-eureka.jp」を作りました。それで、原稿がなくても、ここはこういうページ、ここはこう、という感じで追えるようにしたんです。そうすると、ここにはこういう文章が入るねといった感じで、進み始めました。構造としては成立している状態まで一気に行くことで、これを入れようとか、こういうページはないのか、という適切さの話に移行できました。それからずっと、そのやり方でやっています。
それでなんとか、2021年度のうちにウェブサイトがある状態まではたどり着いて、2022年度からはどうやって育てていこうか、という話ができるようになりました。

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