ポニポニピープル Dialogue 004 大庭早子

(1/6) ポニポニピープル Dialogue 004 大庭早子

みんなの「うずうず」が湧き出してくるような場所、うずうずマインのデザインに建築の視点から携わった大庭早子さん。ブラジルへの移住で得た経験から、大牟田駅前のビルはどのように改修・解体されてうずうずマインとなったのか、それを通してご自身にどのような影響があったのか、語っていただきました。
(2024年12月5日収録 / 聞き手・菊地玄摩)

ポニポニとの出会い

菊地玄摩 よろしくお願いします。読んでくれる方々に大庭さんをどう紹介すれば良いでしょう。ポニポニでの仕事はうずうずマインとして形になったと思うのですが、今までのお仕事にはそういうものが多かったわけではないですよね?

大庭早子 一言で言うと「うずうずマインという場所を設計をした人」になると思いますが、いつもは個人住宅でかつ新築の設計が多いので、原口さんから、数年後には解体される予定の古いビルを改修して活動拠点にしたいので相談に乗って欲しいというメールがきた時に、怪しい詐欺や間違いを疑ってしまい、「どこかで会いましたか?」「どなたかの紹介ですか?」と恐る恐る返信をしたのを覚えています。 そしたら、福岡の建築家を紹介するサイトで見て、その後ブラジルというキーワードで検索して、私のブラジルについて話しているのをみてお願いしたいと決めましたと。 最初はびっくりしたし、私は住宅しか設計してないのにブラジルでの経験を面白がってくれるクライアントと仕事ができるのは楽しそうだと思ったので、実際に会って話すことになりました。

菊地玄摩 ブラジルについては後ほど伺いましょう。ある日原口さんからメールがきて、怪しいな、と思ったのがポニポニの第一印象ですね。

大庭早子 最初のメールが2022年の3月末で4月には会っています。3月はメールの宛名は大庭さんだったのに、会った日の夜には、宛名が早子さんへになっていて距離の詰め方がすごいなと思いました。笑 藤原辰史さんの本をちょうど読んでいたこともあって、会う前にポニポニがYouTubeで配信していた『湯リイカ』のエピソードをPodcastで聞いたんですが、自動再生だと各出演者との対話前半と後半がシャッフルされてしまって、順を追って聞けなかったんです。でもエピソードを横断しても皆さん似たようなキーワードに触れていて、対話の内容に一貫性がある。皆さん大らかで存在を肯定してくれる感じで、ポニポニとはそういう団体なんだなというのが分かったので、会って話してみたいと思いました。 初回打ち合わせで朝から夕方までずっと話して、そこで意気投合しました。不信感は最初のメールだけで、それ以降は大丈夫だという感覚になりました。

藤原辰史 「分解」から捉え直す社会

菊地玄摩 シャッフルがよかった、というのは面白いですね。

大庭早子 順番で聞きたかったのに、なぜか混ざってしまっていて。だけど皆さんすごく優しくて、それぞれの気づきや実体験をすごく楽しく話されていて、引き込まれました。。

菊地玄摩 各エピソードに共通している発信者の姿勢が、シャッフルだからこそ感じられるんですね。

大庭早子 そういう不思議な体験をしたことも話して、原口さんたちが面白がってくれました。初対面なんですけど、初対面じゃない感じで、こういうことやりたいという話をしました。
住宅設計の場合、個室は3部屋欲しいとかお風呂はユニットバスにしたいとか要望を聞いて、その真意を私が解釈して図面として提案することが多いのですが、原口さんからは具体的な要望は一切なくて雑談満載のおしゃべりのあとに、「じゃ、あとは早子スペシャルでお願いします!」と伝えられました。菊地さんと原口さんの会話の中でも「機能や言葉を決めずに、私と菊地さんの作品としてやりきっちゃってください」と言っていましたよね。
好きにやっていいよという要望は初めてで、いつもやっている設計や、大学で学んだ設計とも違うなと思いました。設計でも課題でも、「こういうプログラムでやってください」とか、ある程度の条件があるんですね。でも今回は、広場も欲しいし、働きたい、会話もしたいなど、名前のつかない、機能をはっきり持たないものについて「とにかく好きに早子スペシャルでやってください!」という要望はとても面白かったし、逆にかなりプレッシャーでしたね。

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