ポニポニピープル Dialogue 006 椎原春一
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大牟田市動物園の園長で、ポニポニのプロジェクトには講師、執筆者、トークゲストなどさまざまなかたちで関わってきた椎原春一さん。ポニポニ前史ともいえる大牟田のシーンや、動物福祉に関わることになるご自身の生い立ち、今後についての期待を語っていただきました。
(2025年2月13日収録 / 聞き手・菊地玄摩)
ポニポニピープル
椎原春一さん
菊地玄摩 よろしくおねがいします。椎原さんとポニポニとは、どのように関係が始まったのでしょうか。
椎原春一 ポニポニの山内さんと出会ったのは、福岡市でリノベーションをやりながら、まちづくりの活動をされている吉浦隆紀さんの講演会でした。講演会に行ったら、山内さんがあの風貌でいて笑。はじめましてと挨拶すると「ドネルモ」という団体をやっている者です、と返ってきました。いろいろ話を伺ったら、ドネルモは福祉方面もやっていたり、2017年には大牟田でも地域デザインの学校を始めるということで、大牟田とも関わりがあることを知りました。
菊地玄摩 リノベーションに興味を持たれていたんですか。
椎原春一 動物園の飼育環境を豊かにする、環境エンリッチメントという考え方があるのですが、リノベーションの技術や発想を活かせるんじゃないかと思っていました。
菊地玄摩 なるほど、動物園の環境づくりとつながっているんですね。
椎原春一 環境エンリッチメントと福祉は、動物と環境、個人と社会の関係に共通する話かなと。動物が自由に行動できない、生活が豊かにならない。そりゃあ、コンクリートや檻に囲まれているだけだったら何もできないわけですよね。それは社会モデルの話に通じると思っています。動物の生活と人の生活には共通点があるよね、というのが私の問題意識で、そこについて山内さんと話せたのが始まりですね。
菊地玄摩 なるほど。
椎原春一 大牟田でリノベーションを一生懸命やっている人がたくさんいます。冨山博史さんや村田仁さんなど、空き家をリニューアルして、新しいお店にしたりする活動をされている方々がいて、その方たちと一緒に、子供たちを呼んで動物園のプチリノベーションをするイベントをやったりもしました。また、福岡市内にもリノベーションされている方がいて…という関係です。
菊地玄摩 ポニポニが始まる前の状況ですね。
椎原春一 ポニポニが始まる頃でいうと、2019年の3月に、大牟田で「街なかさわやかフェスタ」のトークイベントがあって、私も出ることになったんです。大牟田で認知症ケアをやられているグループホーム「ふぁみりえ」の大谷るみ子さんと大牟田市動物園の私、ゲストにドミニク・チェンさんと伊藤亜紗さん、そしてファシリテーターに菅原知之さんとNTTの渡辺淳二さん、というイベントでした。渡辺淳司さんのサイト「ふるえ」2019年7月号にその様子が出ています。その年ぐらいからポニポニが始まったと、あとで聞きました。
菊地玄摩 ポニポニ設立は2019年4月だったようです。
椎原春一 私はそれを全く知りませんでした笑。そういう動きの延長でイベントがあったと思うんですけど、私は知らずに参加していました笑。
菊地玄摩 山内さんとのつながりでイベントに出演しても、ポニポニはまだ意識されていないということですね。
椎原春一 そうなんです。後でサイトを読んでみたら、その当時は「ポニポニ準備室」として活動されてたんですね。皆さんそこでつながってたんかい!と。知らなかった当時の私は「世間は狭いんだな」と思っていました笑。