ポニポニピープル Dialogue 006 椎原春一
(6/8)結婚式のテーブルの縁
菊地玄摩 それでもモラトリアムが終わると、何かしら収入を得るとか、選択を迫られる状況が来てしまうと思うのですが、その時々でどういうことをされてきたのか気になりました。
椎原春一 私は大学を出てからこの業界に行くまで結構色々してきました笑。
菊地玄摩 どんなことから始められましたか?
椎原春一 薬品会社のプロパーだったり。フリーターも20代前半に経験して、アルバイトで1年間食っていた時代もありました。親がすごく心配していましたね笑。悪かったなと、親になるとわかる親の苦労笑。
菊地玄摩 ご自身はあまり辛くなかったですか?
椎原春一 そのうち何かやりたいことが見つからないかな、と思っていたんですけど。社会人になってもモラトリアム生活をやっているという。一応生物学科を出たので、毒性試験という、薬品に毒性があるかないかを、人間の臨床にまわす前に動物で見るという会社に入って、そこから動物関連の仕事になりました。
菊地玄摩 生物学を選んだのは、どのような理由だったのですか?
椎原春一 生物学を選んだ理由は、ただ動物や生き物の不思議を知りたいと思ったからです。
菊地玄摩 興味のある学科がそちらだったと。
椎原春一 そうですね。あとは、理系文系を選ぶところで、周りからは倫理哲学科だと「卒業しても何も就職先ないよ」と言われて、哲学よりは生物の方が就職はあるのかなというのはありました笑。
菊地玄摩 なるほど、高校で興味があったのは生物と、倫理や哲学の2つですか?
椎原春一 そうです。
菊地玄摩 その関心をもって動物園の業界に入られて、すっかり生物と哲学と倫理の人になられたのだなと納得しました笑。稼ぎの都合がなければ、もしかしたら哲学の方に進まれたのかも知れませんね。
椎原春一 そうですね。ただ大学を選ぶ時に、私は文系に苦手な学科が多かったので、哲学科に行きたいと思っても受験で落ちたかもしれません笑。
菊地玄摩 試験の形式にフィットしなければ通りやすい方に行くというのもまた、自然だなと思いました。
椎原春一
そうして入った動物実験の世界で働いて、すごく社会の中で大事な仕事だなというのは頭の中ではわかってるけど、私自身には向かないという考えがむくむくと湧いてくるんです。
その前の職が実験用の試薬の営業をしていて、色んな企業の研究室だったり繋がりがあって。その時の知り合いの人の結婚式に呼ばれたんですよ。たまたま私が動物関連の仕事をやってるということで、同じテーブルに動物園関係の人がいて。ちょうど福岡に「海の中道海浜公園 動物の森」という動物園があって、「そこに行ってみる?」と。「行きたいんだったら紹介するよ」と言われて、翌日「行きたいです!」と返しました。
菊地玄摩 そっちの方が面白そうだなと思いました?
椎原春一 暗くないなと笑。動物園は、子供のころ嫌いだったんですよね。
菊地玄摩 どうして嫌いだったんですか?
椎原春一 狭いとこに入れられて可哀想な動物たち、というひねたガキだったので。
菊地玄摩 なるほど。
椎原春一 そんな感じで、やっぱり人間関係って面白いなと思います。福岡で山内さんと知り合っていなければ、ポニポニとも出合ってはいないかも知れない。私が動物園の業界に入ったのも、結婚式でのテーブルの縁だったりですし。
菊地玄摩 違うテーブルだったら違ったかもしれないですね。